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管理栄養士が就職する場所はいろいろあります。

その中でも特に資格を生かして働きたいと考える人が希望するのは「直営病院の管理栄養士」です。

 

直営の病院に就職すれば、その資格を存分に生かすことができる。

そう考える管理栄養士も少ないでしょう。

しかし、残念ながらメリットばかりではありません。

 

今回は実際に直営病院の管理栄養士として働いた僕が感じたデメリットについてお伝えします。

 

直営病院の管理栄養士になるデメリット

 

病院によって業務が全然違う

 

直営病院の管理栄養士になれば、栄養相談をして、NSTに参加して、患者さんの治療に深く関わることができる。

そう考えている人は多いでしょう。

もちろん、その可能性はすべては否定しません。

しかし、同じ直営病院の管理栄養士だとしても就職先によってその業務内容はかなり異なります。

 

・下積み時代の調理や事務作業

基本的には新卒や初めての病院勤務であれば、すぐに栄養相談やNSTなどの栄養の知識を必要とする仕事はできないことが多いです。

すぐに資格を生かした仕事ができるようになればいいのですが、場所によっては5年以上調理や事務作業をしている場所もあります。

特に働きはじめは「思っていた仕事と違う」とギャップを感じることも少ないでしょう。

 

・食事指導が必要とされない

たとえば、ガンの末期患者であったり、精神疾患がひどい場合には栄養相談を必要としない場合があります。

食べたいものを食べさせる、相手の話し相手になる、そういった特に栄養の知識を必要としない食事指導になる場所もあります。

もちろん、それが悪いわけではありません。

それも、立派な仕事です。

ただ、自分の栄養学の知識をより生かしたいと考えたときには求めていた仕事と違うと感じてしまうことがあります。

 

・管理栄養士の地位が低い

今はかなり食事の重要性も理解されるようになり、NSTなどのチーム医療に管理栄養士が加えられています。

しかし、すべての病院が食事の重要性に対して理解があるわけではありません。

場所によってはいまだに、ただ給食を作るだけの楽な仕事だと思われていることもあります。

 

僕が受託給食会社時代に働いていた病院のクライアントの管理栄養士は給食委員会とよばれる病院給食の方向性を考える会議でもまったく意見が言えずに、ただただ看護師のいいなりになっていました。

直営病院の管理栄養士だからといって必ずしも必要とされているわけではないということです。

 

人間関係が狭くなる

これは、あまり意識していない人も多いかもしれません。

特に小さな病院の管理栄養士に多いです

受託給食会社であれば、同期や先輩、上司、別の事業所の栄養士などと交流を取れる場合もあります。

また、もともとパートタイムで働いている人も含めればそれなりの人数と関わります。

 

しかし、小さな病院の管理栄養士だと事務所にいるのが2~3人だということは普通にあります。

他職種の方と関わる機会はもちろんありますが、そんなに頻繁ではありません。

 

2~3人の中でもし人間関係がうまく築けなければかなりのストレスです。

 

また、小さな病院であれば学会やその他の病院の勉強会に参加する機会も少ないです。

事務所の中にいる数少ない栄養士と関わり、給食を作っていただいている調理師との関係性もなかなか難しい場合があります。

ですので少ない人とでも仲良くなれるコミュニケーション能力を必要とします。

できれば積極的に、勤めている病院以外の人と会える交流会や勉強会に参加するなどして人間関係を広げることをおすすめします。

 

現代医療に関しての疑問を持つ

 

僕が病院をやめた最大の原因はこれでした。

今の病院で伝えている現代医療に沿った栄養学が本当に正しいのかと疑問に感じたのです。

 

・薬が中心となる病院の医療

基本的は医療の中心は「薬」です。

薬が処方されていない患者は少ないでしょう。

食事の重要性は理解されてはきていますが、その方針時代は大きくは変わりません。

「予防」の観点から言えば食事のほうが重要ですが、「治療」する場所である病院では薬がメインです。

そのため、栄養士にも「薬」の知識が必要とされます。

知っておいて損はないのですが、食事を中心とした「予防医学」に力をいれたいと考えたときに病院ではそれを実現できないことを強く感じました。

 

・悪いとわかっていても禁止にできない

たとえば、「マーガリン」に含まれるトランス脂肪酸のの危険性はすでに周知の事実です。

海外では食品への使用は禁止されつつあります。

でも、病院の給食では普通にマーガリンが使用されます。

欧米の食事と日本の食事とでは摂取されているトランス脂肪酸の絶対量が違うために少量であれば問題ないとの意見もあります。

しかし、本当にそうでしょうか?

欧米化された現代の食事では日常の食生活の中でかなりの量のトランス脂肪酸が使われています。

 

そんな現状の中で仮にも「治療」する場所である病院では少しでもそのリスクを下げるような対応をするべきではないでしょうか。

 

でも、コストを考えたときにマーガリンのかわりにバターを使うことはできません。

このように悪いとわかっていてもその他の条件から患者さんには事実を伝えることができないことがあります。

僕にはそれが耐えられませんでした。

 

直営病院の管理栄養士だからといって「栄養学」の最前線にいるわけではありません。

 

むしろ本来の食事がもつ「予防」の可能性からかけはなれた「治療」のための補助的な位置になってしまいます。

僕は「食」にはもっと大きな可能性があると感じていたので結局病院をやめてフリーランスになる道を選びました。

 

どんな病院なのかできるだけ調べておくこと

 

いかがでしたでしょうか?

直営病院の管理栄養士だからといって必ずしも自分の満足する結果が得られると限りません。

大切なことは自分のやりたいと思っていることをしっかりと考えること。

そして、それを実現できそうな病院を選ぶことです。

 

そのためにはいろんな栄養士の話を聞く場所に参加したりして、常に情報をキャッチする習慣を身につけることです。

 

あなたの一生を決めるかもしれない職場選びだからこそ事前の準備には時間をかけましょう。

 

場合によって委託給食会社に勤めながら副業で自分のやりたいことを仕事にできることもありますから。

あまり、直営病院の管理栄養士という働き方にとらわれすぎずに柔軟な考えで選んでみてくださいね。

 

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