あなたは食育という言葉を聞いたことがありますか?
最近、注目されはじめているので耳にしたことはあるかもしれませんね。
私は普段保育園の栄養士として働いているのでこの食育について考える機会が多く、食育をいうワードを聞くと何かと反応してしまうんです(笑)
しかし忙しく働いているお母さんにとっては、食育なんて考えている時間はないと思う方も多いでしょう。
そこで食育について私なりの考えや普段やっていること、忙しい方でもできることをまとめてみました!
目次
そもそも食育とは?
保育園で行っている食育の取り組み事例
時間がなくても家庭でできる3つのこと
まとめ
そもそも食育とは?
ではさっそくですが、そもそも「食育」とは何なのでしょうか?
言葉としては聞いたことがあるけれど意味はよくわからない方も多いかもしれません。
農林水産省によると、食育は次のように定義されています。
「食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです」
<引用>農林水産省:食育の推進
少し難しい表現にはなっていますが簡単に言うと
生きる上での基礎となる「食」に関する知識とそれを選ぶ力を身につけ、健康な生活を送れるような人に育てましょう!
ということですね。
では、それを実現するためにはどんなことをすればいいのでしょうか?
ここからは実際に保育園で行っている食育の取り組みについてご紹介します。
保育園で行っている食育の取り組み事例
・食育イベント
マグロの解体ショーやクリスマスバイキングなど子どもが楽しめるイベントを定期的に行い、食への関心を深めます。
・調理保育
グリンピースの鞘むきや、うどん作り体験などをします。
調理を体験することで料理がどんな風に作られているのかを知るという狙いがあります。
子どもたちにとっては、お気に入りのエプロンをつけて作業をすること自体がとてもテンションの上がることなのでいつも楽しみにしてくれています。
また、自分が作ったものだと苦手なものでも食べてくれることが多いですね。
・野菜の栽培、収穫
きゅうりやオクラ、ミニトマト、さつまいもなど保育園にある小さな畑で子どもたちと一緒に野菜を育てます。
具体的には当番制で水やりをしてもらったり、収穫のお手伝いをしてもらうんです。
収穫した野菜は給食に出てきたり、おやつのスイートポテトに変身します^^
年長児はバケツを使って稲も育てています。
秋に収穫されたお米を使って子どもたちと一緒におにぎり作りをして楽しみます。
栽培活動を通じて、野菜やお米を作るのには手間がかかるということを知ってもらい、残さず食べようという気持ちを育てます。
・行事メニュー
ひな祭りの日はちらし寿司、子どもの日はこいのぼりの形のハンバーグ、ハロウィンはかぼちゃのプリンなど、行事の日は少し特別なメニューを作ります。
また、そのときに行事と食の関連性について伝えたりもしますよ。
保育園では食のイベント的な取り組みとしてこのようなことをやっています。
これを読むと、家庭でやるには忙しくてとてもじゃないけど無理!と思うかもしれません。
しかし食育とはそもそも、このようなイベント的なことを必ずしなければいけないわけではないんです。
なぜならイベントはあくまで食に興味を持ってもらうための「きっかけづくり」であり、本当に大事なことは日々の食事の時間のなかにあるからです。
反対にどれだけ立派なイベントを行っても日々の食事の時間が粗末なものになっていたら、充分とは言えません。
「食育」と聞くと、
・子どもと野菜を育てたりするんでしょ?
・栄養の知識を教えなければいけないの?
・時間に余裕がないとできない
というイメージがあるかもしれませんが
子どもが食に興味をもつために、時間のゆとりや栄養の知識は必ずしも必要ではありません。
なので難しく考えたり、身構えなくても全然大丈夫です!
ここからは時間がないお母さんでもお子さんと一緒にできる食育についてお伝えしますね^^
時間がなくても家庭でできる3つのこと
1、会話をしながら食事を楽しむ
難しく考えがちですが、子どもと一緒に楽しく食事をするというだけでも充分食育になります。
最近では、子どもの食の問題として挙げられるものの1つに「孤食」があります。
「孤食」とは一人で食事をする事を意味します。
共働きの家庭も増え、忙しいお母さんが増えたのも原因のようですね。
孤食を続けると会話をする機会が減り、発想力や表現力が低下する恐れもあるといわれているんです。
同じ料理でも一人で食べるより、誰かと一緒に楽しく会話しながら食事をする方が美味しく感じますよね!
その時も
「この野菜には○○っていう栄養があってね…」なんて話はしなくても
「おいしいね。」と楽しく会話をしながら食べることで、子どもに食事の時間が楽しいものなんだという記憶として定着します。
また、食事の挨拶「いただきます」「ごちそうさま」の意味や箸の持ち方、食器の扱い方など正しいマナーを身につける良い機会にもなります。
子どもに注意をするときは、その場で注意するのが最も効果的なんです(笑)
箸を持っていないときに箸の持ち方を説明されてもわからないんですね。
しかし、厳しくしすぎないようにするのもポイントです。
食事の時間が怒られる時間という認識になってしまっては逆効果ですからね。
食事の挨拶やマナーについても同様です。
2、簡単なお手伝いをしてもらう
可能であれば、食事の支度や後片付けの中で子どもでも簡単にできそうなことをお手伝いしてもらいましょう。
たとえばレタスをちぎったり、野菜を洗ったり。
複雑なことよりも絶対に失敗しないような簡単なことの方がいいです!
一緒に作業をすることで親子のコミュニケーションも生まれます。
また、子どもは自分が作ったものだと特別おいしく感じるようです。
調理に参加することで嫌いなものでも食べてみようというきっかけ作りにもつながりますよ。
3、子どもと一緒に買い物をする
スーパーや商店街などで子どもと一緒に買い物をすることも食育につながります。
いろいろな食材を目にすることで、食べ物にはたくさんの種類があるんだということを見て学ぶことができるんです。
また、食材を選ぶ時には
「どのお魚が新鮮そうかな?」
「冬は白菜がおいしい季節なんだよ。」
など会話をしながら買い物をすることで
新鮮な食材、安全な食材を自分で選ぶ「食選力」を身につけるヒントにもなります。
まとめ
いかがでしたか?
最近耳にする食育とは簡単に言うと
生きる上での基礎となる「食」に関する知識とそれを選ぶ力を身につけ、健康な生活を送れるような人に育てましょう!
というものでした。
それを実現するために保育園では
・食育イベント
・調理保育
・野菜の栽培・収穫
・行事メニュー
などを取り入れています。
しかしイベント的な取り組みだけでは不十分で、日々の食事の時間を充実させることも大切な食育の要素となります。
そのために家庭で無理なくできることとして3つの方法をお伝えしました。
1、 会話をしながら食事を楽しむ
2、 簡単なお手伝いをしてもらう
3、 一緒に買い物にいく
この3つのどれか1つでもいいので、できることからぜひやってみて下さいね。
嫌いなものに挑戦するきっかけや食選力を身につけるヒントになることはもちろん、
子どもにとってきっと楽しかった時間として心の中に残るはずですよ^^