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なぜ、食事を変えるのか?

「食事を変えれば健康になる」

近年、栄養学の需要が高まり健康を維持・増進するためには食事を変える必要があるということは周知の事実となりました。

しかし、食事が大事だとわかっていながら「正しい食事」はなかなか広まることはありません。

清涼飲料水や菓子、ファーストフードなど体に悪いと思いながらもそれらの商品がなくなることはないのです。

 

では、その理由はなんなのでしょうか?

なぜ、人は体に悪いと思いながらも食事を変えようと思わないのでしょうか?

予防医学を広めたい、健康な人を増やしたいと思っている人に知っておいてほしいことがあります。

 

「食」の大切さを伝えたいと思っている人に知っておいてほしいこと

なぜ、食事を変えないのか?

まず、考えるべきことがあります。

それは「正しい食事」とはなんなのか?

この定義は曖昧です。

 

きっと、答えが出ることはこの先もないでしょう。

 

ただ、ここでは「ちょっとでもいいから健康になる食事」と定義することにします。

つまり、「健康にいい食事」ですね。

 

僕のような栄養士は健康にいい食事を伝えるのが仕事です。

ですが、ただただ健康にいい食事を伝えてもそれを実践する人が少ないのが現状です。

 

これは、人々の「食の優先順位」が低いことが原因です。

 

食事が大事だと知っていても、健康にいい食事に対しての優先順位はほとんどの人にとって低いのです。

では、その理由はなぜでしょうか?

いくつかありますが、今回はその中の最も大きな理由についてお話しします。

 

 緊急性を感じない

最大の理由は「緊急性」です。

食事が大事だとなんとなくわかっている。

 

でも、「今すぐ変える必要はない」と思っているのです。

 

正直な話、正しい食事に変えたからといって一日二日で健康になるわけではありません。

日々の積み重ねが毎日の健康を作っていきます。

今、食事を変えたところで良くも悪くも変化は感じづらい。

 

人は緊急性を感じないことは後回しにします。

よく、自己啓発の本で出てきますが人の行動は4つの領域に分かれます。

 

第一領域 緊急で重要なこと

締め切り間近のプロジェクト、生活のための仕事、病気の治療など

 

第二領域 緊急ではないが重要なこと

運動、食事、自己啓発、資格ための勉強など

 

第三領域 緊急でなく重要でもないこと

ネットサーフィン、自分の生活に特に必要のないもの

 

第四領域 緊急だが重要でないこと

突然の電話、突然の誘い、カードのポイント期限など

 

 

この四つの領域の中でほとんどの人が優先しているのは「緊急で重要なこと」である第一領域です。

 

当然ですね。

放っておくと、すぐに問題が生じるからです。

 

では次にどこを優先するかいうと「緊急だが重要でないこと」である第四領域です。

ついつい特に重要ではないのだけど対応してしまうのです。

 

そして、緊急でない第二領域と第三領域は人によって優先順位が変わります。

 

予防のために食事を変えることは「第二領域」です。

 

だから、ほとんどの人は優先しません。

変えたほうがいいと思いつつも、他の優先順位が高いことから手をつけます。

食事を変えることに対して緊急性を感じないから、人は行動しないのです。

 

いつかは緊急になる

ただし、ここで大事なことが。

第三領域は放っておいても、特に問題はありません。

そもそもあってもなくても問題がありませんから。

 

しかし、第二領域は放っておくと「第一領域」に変化します。

最初は緊急でなかったのだけで時間が経つにつれて、緊急なことになるのです。

 

食事でいうとこれが「病気」になることです。

 

例えば、腎臓病の末期になると人は食事を制限しなければ死につながります。

この段階まで来てしまった人は、食事を変えることに対しての優先順位はかなり高い段階です。

 

つまり、緊急性を感じれば人は食事を変えることになります。

僕らが考えるべきことは相手に緊急性を感じもらうことなのです。

 

食事を変えてほしいと思ったら

「どうやったら緊急性を感じてもらえるのか?」

これが僕らのテーマです。

 

 

緊急性を感じてもらえれば人は食事を変えるのですから。

 

ここで、ほとんど人が伝えることが「将来の病気になった時のリスク」です。

病気の怖さを伝えることで緊急に感じてもらおうというわけです。

 

将来の病気になった時のリスクを伝えるのであれば

 

・病気になった人の実例を見せる

→例)糖尿病合併症による失明することを伝える

 

・病気になった時にかかる費用を見せる

→例)糖尿病にかかるとどれくらいの金額を失うのかを教える

 

・病気になることによる機会損失を見せる

→例)透析になった場合で仕事を変えなければならなくなり、年収が減ってしまうことを伝える

 

この三つが有効です。

将来の危険性を少しでも身近に感じることで緊急性を感じてもらうのです。

これで一定の人は食事を変えてくれます。

 

ですが、実はこの方法だけではあまり上手くいきません。

 

もともと健康に対して、ある程度関心のある人なら行動してくれます。

ただ、関心のない人は行動してくれません。

 

なぜなら、どれだけ口で伝えても「経験したことがないからわからない」のです。

 

経験したことがないのでイメージできないのです。

 

では、どうすればいいのか?

 

それは

 

相手の緊急性の高い問題につなげてしまう。

「健康」とは違うアプローチから緊急性を感じてもらう。

 

この2つの方法があります。

 

相手の緊急性の高い問題につなげてしまう。

相手は何に悩んでいるのか?

僕はたくさんの「食に関心のある人」とお話しして来ました。

すでに食事を変える努力をして来た人です。

その人たちに「なぜ、食事を変えたのか?」

この話を聞くと、共通点があります。

 

それは、ほとんどの人が

「自分自身や身近な人が食事によって問題を解決できた人」

または

「自分自身や身近な人が食事が原因で問題を起こした人」

 

この2つの理由がほとんどです。

 

つまり「緊急性」の高い問題があったからこそ、食事を変えようと思ったのです。

 

ですので、

 

相手が抱えている問題は何か?

相手は何に悩んでいるのか?

 

これらをヒアリングし、それを「食事で解決できる」もしくは「食事が関係している」と感じてもらうのです。

 

もちろん、すべての問題が食事で解決できるわけではありません。

しかし、緊急性の高い問題と食事が関係していると感じてもらえれば、相手が行動する確率は上がります。

 

「正しい情報」を伝える前に「相手の問題」を明らかにする。

その問題に立ち向かうために食事を変えてもらうのです。

 

一方的に病気のリスクを伝えても響きません。

ですが、相手の問題に対して共感し、その解決に協力するために食事を変えることを提案することは相手にとってはメリットがあるでしょう。

 

相手の悩みを聞き出し、その解決のために協力する。

相手目線で考えることによって食事を変えてもらうのです。

 

 

「健康」にするために「健康」になることを目的にしない。

「相手の悩みや問題を解決すること」を目的にする。

 

これが大切です。

 

相手の悩みや問題を顕在化し、それが解決すべき問題だと感じてもらう。

そして、

「どうすれば、解決できるのでしょうか?」

 

このセリフが相手が出てきたら、あとは簡単です。

解決するための食事の重要性を伝えればいい。

 

つまり「健康にいい食事」=「悩み、問題を解決する食事」という認識にしてもらうということです。

 

「健康」とは違うアプローチから緊急性に感じてもらう

「食事」はついででもいい

もう一つの方法は「健康」になるためではなく、違う理由で食事を変えてもらう方法です。

それは、食事が関係のない問題に、食事を関係させる方法です。

 

わかりにくいと思いますので、例をあげます。

ある料理教室がありました。

その講師の方は「食」を通して、健康の大切さを伝えたい。

病気になる人を少しでも減らしたい。

そう考えていました。

 

しかし、単なる料理教室ではなかなか伝えることができなかったんです。

そこでその人が取った方法があります。

 

それは料理教室を2つ作りました。

それは「男性専門の料理教室」と「女性専門の料理教室」です。

ただ、この2つの料理教室はある目的があります。

 

それは、それぞれの料理教室が「合同で料理を作ること」です。

この2つの料理教室は最初から「男女の共同作業」が最終ゴールです。

料理が好き、もしくは料理を食べることが好きな男女が共通の目的を持って集まれる場を作ったのです。

 

要は「出会いの場」ですね。

 

ただ、そこの料理教室で教える内容は「健康になる食事」です。

そこの参加者は結果的に「健康になる食事」を覚えます。

 

場合によっては、思い出の食事になるでしょう。

 

「健康になること」は参加者の目的ではありません。

目的は「料理を楽しみつつ、出会いの場も楽しむこと」です。

 

しかし、結果的に参加者は「健康にいい食事」を参加するたびに食べます。

そして、さらに「健康にいい食事」を作ることができるようになります。

 

また、楽しく参加できるコミュニティを作ることができます。

そうすると、講師の人と参加者も仲良くなります。

 

その結果、以前だったら聞き入れなかった「健康にいい食事」や「食の大切さ」についての話も聞いてくれるようになるのです。

 

料理教室の参加者の目的は健康になることでありませんでした。

しかし、講師側の目的である

 

「食」を通して、健康の大切さを伝えたい

病気になる人を少しでも減らしたい

 

この目的は以前よりも圧倒的に達成することができるようになったのです。

 

相手に伝えるためには「健康」を目的にせずに、別の目的を作り出す。

そして、結果的にこちらの目的を達成することができればいいですよね。。

 

食事は緊急性が低い。

つまり優先順位が低い問題です。

だったら、相手にとって緊急性が高い。

つまり優先順位の高い問題と繋げてしまうことで結果的に食事の大切さを伝えることができるのです。

 

まとめ

相手に「伝わる」ように「伝える」

いかがでしたでしょうか?

自分の専門分野の知識を生かして、相手に「正しい食事」を伝えたい。

その気持ちはとても大切です。

 

でも伝えたいからこそ、相手に「伝わる」ように伝えた方がいいですよね。

 

そのためには相手の悩みや問題を明確にし、その解決のために食事が重要だと認識してもらうこと。

相手が関心のあることに繋げて、食事にもついでに関心を持ってもらう。

 

あなたは相手の問題解決、人生を楽しむための協力者になるのです。

より、多くの人を健康にするために「伝え方」を意識してみてくださいね。

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