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「糖質制限がいいのか、悪いのか?」

最近、流行とも言える「糖質制限」を聞いたことはありますか?

様々な人たちがその有効性を伝えています。

その一方で「糖質制限」を否定する人がいるのもまた事実です。

では、僕たちは一体どちらを信じればいいのでしょうか?

「糖質制限」を選ぶ前に知っておいてほしいことを今日はお話します。

糖質制限を始める前に知っておきたいこと

糖質制限食とは?

◆まずは正しく理解する

そもそも「糖質制限食」とはどういった食事を指すのかあなたはご存知ですか?

 

・主食を抜く食事

・甘いものを食べない食事

・砂糖を一切とらない食事

 

このような印象でしょうか?

実は「糖質制限食」には明確な定義はありません。

その伝える人によって、どれくらい糖質を制限する食事なのかは違います。

 

だから、まずは「糖質制限食」というものを理解することから始めなければなりません。

 

ここでは「糖質制限食」を「日常的な食事から意識的に糖質を減らす食事」と定義します。

この定義に従って話を聞いていただけるとわかりやすいと思いますので。

 

◆単純糖質と複合糖質

では意識的に減らす「糖質」ですが、どんなものがあるかを知っておきましょう。

大きく分けて2つあります。

それは「単純糖質」と「複合糖質」です。

細かくいうと色々あります。

 

ここでは単純糖質は砂糖、果物、清涼飲料水、菓子類など「直接食べた時に甘いもの」と考えてみてください。

それに対して複合糖質はご飯、パン、麺、イモ類などいわゆる「炭水化物」と呼ばれる甘いわけではないが糖質を含んでいる食品です。

 

細かくいうと違うのですが、ひとまずこの認識の方がわかりやすいと思います。

つまり糖質制限食とは「意識的に砂糖や果物などの単純糖質やご飯やパンなどの複合糖質を減らす食事」のことです。

ただまだまだ、これだけでは「糖質制限食」を理解するのには不十分です。

 

◆どれだけ制限する?

冒頭でお話したように、同じ「糖質制限食」という名称でも伝える人によってそのレベルは変わります。

 

単純糖質も複合糖質も限りなくゼロにしようという人もいれば単純糖質だけを減らしましょうという人もいます。

または単純糖質や複合糖質で区別するのではなく1日のトータルの糖質の量をコントロールしようという人もいます。

 

これはどれが正しいとか間違っているとかではなく、糖質制限食をする目的によって変わります。

では、なぜ糖質制限食をした方がいいのでしょうか?

 

糖質制限食のメリット

◆血糖値が上昇しにくい

糖質制限食のメリットの1つが血糖値についてです。

基本的には「血糖値」をあげるのは糖質だけです。

そのために、糖質を制限すれば自然と血糖値は上昇しづらくなります。

血糖値が上昇しにくくなることによって得られるメリットは大きく2つです。

 

①糖尿病になりにくく、合併症も進行しにくい

特に糖尿病などの疾患を抱えている人は血糖値の上昇を薬剤のインスリンでコントロールしなければなりませんが、その弊害として合併症が進行しやすいという意見もあります。

糖尿病の合併症は「失明」や「足の切断」、「神経障害」などがあります。

つまり、糖質制限食を取り入れることにより糖尿病になりにくくなり、なっていたとしても合併症になりづらくなる。

血糖値のコントロールにより、病気になりにくくなるため糖質制限食をするというメリットがあります。

 

②精神が安定する

また、糖質を摂ることによって血糖値が急激な上昇や下降を繰り返すことで精神が不安定にあるということも知られています。

今の時代のキレやすい子どもも清涼飲料水や菓子類の食べ過ぎで血糖値が急上昇する。

そして、急上昇した血糖値を体が正常にしようとして急降下させる。

こういった血糖値の変動が精神を不安定にさせると言われています。

 

つまり糖質を制限することにより、血糖値が安定する。

結果、精神的にも安定する可能性があるというメリットもあります。

 

◆ダイエット効果がある

最近、流行になっているのはこの「ダイエット効果」の方でしょう。

糖質制限食をすれば痩せることができる。

だから糖質制限食を始めようというわけです。

 

では実際に糖質制限食にはダイエット効果があるのか?

結論から言うとあります。

ダイエット効果がある理由が大きく2つです。

 

①脂肪がつきにくくなる

僕らの体についている脂肪のほとんどは「糖質」を食べることによって作られています。

厳密には「糖質の過剰」によってです。

 

一度の食事の中でたくさんの糖質を食べると体は必要じゃない分を体の中に蓄えようとします。

これはもともと人類は飢餓に備える遺伝子があるからだと言われています。

 

食事なんて、毎日きちんと食べれるのは昔はごく稀なこと。

むしろ毎日、食事が普通にできないのが当たり前。

だから、たくさん食べることができた時にはできる限り体の中に蓄えて活用できるようにしておこうと言うわけです。

ただ、現代の日本では飢餓になることはほとんどありません。

 

それでも遺伝子がまだまだ飽食の時代になれていないので糖質を脂肪に変えて蓄えようとするわけです。

糖質を過剰に摂らなければエネルギーとして使われてしまって、脂肪には変わらない。

だから、体の脂肪が増えないというわけです。

 

②脂肪が燃焼される

脂肪がつかないだけではダイエットにはなりません。

糖質制限食がダイエットに繋がるのは体の中にある脂肪も減らすことができるからです。

僕らは普段、体を動かすためのエネルギーを糖質に頼っています。

 

ただ、糖質制限をするとその頼っていた糖質が足りないので他からエネルギーを作ります。

その時に体の中の脂肪を燃焼させてエネルギーに変えるのです。

 

つまり、糖質を制限することにより体の中の脂肪が燃焼される。

だからダイエット効果があるというわけです。

糖質制限をすることによって、脂肪がつきにくくなり、体の中の脂肪も減らすことができる。

結果的にダイエット効果を得ることができるのです。

 

糖質制限食のデメリット

ここまで糖質制限食のメリットについてお話ししました。

メリットだけ聞けば、取り入れたいと思う人が多いですよね。

 

実際、個人的な意見を言えば僕は取り入れるべきだと考えています。

しかし、デメリットもあります。

それを知らずに糖質制限食を選ぶことは逆効果になる可能性もあるのです。

でがどんなデメリットがあるのでしょうか?

 

◆どんな方法を選ぶかによって効果が変わる

糖質制限食は「日常的な食事の中から意識的に糖質を避ける食事」と最初に定義しました。

ただ、この定義ではだいぶ曖昧ですよね。

 

糖質制限食はどんな方法でどれくらい糖質を制限するのかによって得られる効果がまるで変わってきます。

何も知らずに糖質制限食を始めると、糖質を避けようとする中で起きやすい弊害もあるのです。

 

◆食物繊維が不足する

糖質制限食のデメリットとして食物繊維の不足があります。

僕たちは普段の食事の中でも食物繊維というのは不足しています。

ただ、主食の中に食物繊維は含まれているのでそこから多少なりとも得ています。

 

しかし、糖質制限食をすることにより主食を食べなくなるとただでさえ少ない食物繊維がさらに少なくなってしまいます。

もちろん、そのぶん野菜やキノコ類などから食物繊維を補給することもできます。

 

しかし、我流で糖質制限をする人はただ糖質を減らせばいい、主食を抜けばいいという考えで糖質制限食を始めてしまう人もいます。

その場合は食物繊維が不足してします。

食物繊維が不足することで腸内環境が悪化してします。

 

そうすると、体の中の有害物質を外に出す能力が弱まってしまうので便秘や高血圧の原因、さらにはガンの原因になる可能性も指摘されています。

糖質制限食の「糖質を制限する」という部分にばかり注目してしまってはダメだということです。

 

◆エネルギー不足になる

糖質は最も利用されやすい、エネルギー源です。

3大栄養素と呼ばれるたんぱく質、脂質、炭水化物(糖質+食物繊維の総称)の中でも最も早くエネルギーに変えることができるのが糖質です。

よくスポーツの前に糖質を補給するのはすぐにそのスポーツに必要なエネルギーが欲しいからです。

つまり糖質を制限するということは利用されやすいエネルギーを補給する機会を失うことを意味します。

 

しかし、たんぱく質や脂質からもエネルギーは補給できます。

だから本来であれば糖質を制限したとしてもしっかりとたんぱく質と脂質を食べれば大丈夫なんです。

 

ただ、糖質制限食をする人はたんぱく質と脂質の補給のことをよく知らずに始めてしまう人がいます。

 

糖質を制限した分を、たんぱく質や脂質を増やさなければいけません。

しかし、カロリーも減らしたほうがいいからとたんぱく質や脂質も同時に減らしてしまう人がいます。

 

これでは逆効果なんです。

特に誤解を招いているのが脂質です。

僕らは昔から脂質を摂りすぎるのは良くないことだと教えれられてきました。

 

しかし、最近では脂質を積極的に摂ることが健康には不可欠だということがわかっています。

糖質制限食を始める時には特にこの脂質の摂り方が重要です。

 

「質」の高い脂質をしっかりと摂ることによって始めて糖質制限食は成り立ちます。

たんぱく質や質の高い脂質を摂らずに糖質制限食を始めてしまうと必要なエネルギーが確保できない。

そのためエネルギー不足になり、体がだるくなったり、イライラしやすくなったりします。

正しい方法を知らなければ、やはりデメリットがあるのです。

 

◆食費が高くなる

これも知っておいてほしいことです。

糖質制限食をすると、主食を食べないのでたんぱく質や脂質をたくさん食べなければいけません。

基本的に糖質というのは安いです。

ご飯100グラムと肉100グラムでは肉の方が価格は高いですよね?

つまり、価格の安い主食を抜くことによって食費が高くなります。

僕個人の考えとしては食事にはお金を使ってほしいです。

 

病気になってから使うお金の方が圧倒的に多いですから。

でも、そう単純なことでないことも理解しています。

糖質制限食を始めてから、食費が高くなったという声を聞きます。

その結果、お肉や油、野菜類などの「質」が低下する可能性が高いです。

 

せっかく糖質を制限したとしても他の食品の「質」が低下してしまったら意味がありません。

自分の経済状況でしっかりと食事にお金を使うことを決めてから始める。

そうしないと、食費の高騰により食事の質が下がり、ビタミンやミネラルの不足、食品添加物の増加などから体に負担がかかる可能性があるのです。

 

メリットもデメリットも理解して正しく始める

糖質制限食を始めようと思っている人はまず「糖質制限食を正しく知る」ことが必要です。

テレビやニュースに惑わされて、なんとなく始めてしまってはダメなんです。

メリットやデメリットを理解した上で検討してください。

 

もし、始めたいと思っている人がいるのなら最低限押さえておいてほしいポイントがあります。

糖質制限食を始める上でのポイント

◆どれくらい制限するのかを決める

まず、決めなければいけないのが糖質を制限する量です。

糖質制限食といっても人によって制限する量が全く違うのはお話ししました。

自分がどれくらい制限するのかをまずは決めなければなりません。

制限する量によって、その効果は変わります。

 

もし、ダイエット目的で始めたいと思っているのなら極端な制限はお勧めしません。

なぜなら、その食事を継続できないからです。

 

ダイエットというのは本来短期間でやるものではなく継続してその体を維持できるようにするために行うものです。

極端な糖質制限はダイエット効果は高いですが、その食事を一生続けられなければ元の戻ります。

 

細かく言えば色々な方法はありますが、独学でやるのはかなり難しいでしょう。

糖質制限食を始めたいと思っているのなら、「なぜ、やるのか?」を明確にして、その目的の達成に必要な糖質を制限する量を決めましょう。

継続できないのなら、あまり意味がないので自分ができる範囲を考えることが大事です。

 

◆脂質の「質」にこだわる

次のポイントは「脂質」についてです。

いわゆる「油」ですね。

糖質制限食をする上でもっとも気をつけてほしいのが「油」です。

まず、ほとんどの人が間違った認識をしているのが「油の摂りすぎが体に良くない」と思っていることです。

これは大きな間違いです。

 

厳密には「悪い油の摂りすぎが体に良くない」のです。

いい油に関しては積極的に摂るべきです。

 

ただ、現代は普通に生活している食事の中にあるのはほとんどが「悪い油」です。

だから、摂りすぎが体に良くないのです。

 

ただ、糖質制限食をするのなら、「いい油」を食事に摂り入れることは必須です。

たんぱく質だけでエネルギーを満たすことができません。

だから、油からエネルギーを補給することがとても大切なのです。

 

これを高カロリーだからといって糖質と一緒に油も制限する。

もしくは、油は増やしたけでお「悪い油」ばかり摂る量を増やす。

 

こうなったら最悪です。

このようなやり方なら糖質制限食はしないほうがいいです。

油については詳しく話すとそれだけで一冊の本になりますから、割愛します。

ですが、糖質制限食を始めようと思ったら必ず「いい油」についても学んでください。

これを知っておくだけでもかなり効果が変わりますので。

 

◆ビタミン、ミネラル、食物繊維の補給を考える

最後のポイントはビタミン、ミネラル、食物繊維です。

糖質制限食をすると、メニューに偏りが出てしまいやすくなります。

たんぱく質と脂質中心の食事って炭水化物に比べて、料理のレパートリーが少ないのです。

偏った食事になるとビタミンやミネラル、食物繊維が不足になります。

 

食物繊維に関しては上述しましたが、主食を抜いたことによるビタミンやミネラルの不足も考えなければなりません。

たんぱく質や脂質を多く摂るということは、それをエネルギーに変えるための材料も多くなります。

それがビタミンやミネラルです。

 

糖質を制限したことによって得られなくなったもの、また必要量が増えたものに関しては他のものから摂らなければいけません。

それを考えずに糖質制限食を始めるとこれまた逆効果です。

ビタミンやミネラルの補給するためのお勧めの食事は

 

・水菜やサニーレタスなどの緑の濃い野菜をできるだけ生で食べる

・納豆や卵などの栄養価豊富なたんぱく質を食べる

・ナッツ類(特にくるみがお勧め)を食べる

・できるだけ自炊、難しい場合は手作りで作っているお店で食べる

etc…

全部が難しくても取り入れられることから始めてみてください。

ちなみにこれらの食事は糖質制限食をしない場合でもお勧めできるものです。

普段の食生活に取りいれてもらえるいいですね。

まとめ

やるやらないは自由。だけど

いかがでしたでしょうか?

糖質制限食というものを理解していただけたでしょうか?

僕個人としては糖質制限食は有効だと考えています。

でも、もしとりいれるのであれば専門家にきちんと指示を受けた上で始めるべきです。

なんとなく始めてしまうと、ここまでお話ししたように、正しい結果が得られなくなります。

 

そして、何より大事なのは、「なぜ、やるのか?」です。

先ほどもお話ししましたが、なぜ糖質制限食を始めようと思っているのか?

これをしっかりと考えておく必要があります。

その目的によっては糖質制限食よりもいい方法があるかもしれません。

 

まずは、糖質制限食というものを正しく理解すること。


次に、やろうと思っていたとしても「なぜ、やるのか?」を考えること。

そして、やるのであれば正しい方法でやること。

 

これを忘れないでくださいね。

参考にしていただければ嬉しいです。

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